Notes_JP

あまり知られていないこと

行列の対角化とは,『「基底を上手く取り直す」こと』

行列表示を学ぶと,対角化が「基底を取り直す」操作であることが理解できます.
行列表示については,以下の記事を参考にして下さい:


対角化ってどんな操作?

対角化とは,

  1. 行列$\hat{M}$の基底を上手く取り直し
  2. 上手くとった基底で$\hat{M}$を行列表示し直す(これを以下$M$で表す)ことにより,
  3. 対角行列にしてしまおう!

という操作である,と言うことができます.

基底を上手く取り直す?

では,「基底を上手く取り直す」とは具体的にどういうことなのか,以下で詳しく見てみましょう.
("$\hat{}$"の付け方を行列表示の記事と対応をさせました.混乱した時は2つの記事を比較してみて下さい.)


①基底が単位ベクトル$\{e_1,...,e_n\}$の場合

「行列$M$」と「$i$成分が1の単位ベクトル$e_i$」の間には
$$M=(Me_1,...,Me_n)$$
という関係があります(【導出】超簡単! 回転行列の導き方 - Notes_JP).
従って,$M$が対角行列
\begin{align}
M=
\left(
\begin{array}{cccc}
\lambda_1 &0 & \cdots & 0\\
0 &\lambda_2&\cdots& 0 \\
\vdots & \ddots & \ddots & \\
0 & \cdots& 0 & \lambda_n
\end{array}
\right)
\tag{1}
\label{eq:diag_M}
\end{align}
である必要十分条件は
\begin{align}
M e_i=\lambda_i e_i\tag{2}
\label{eq:diag}
\end{align}
となることです.


②基底をベクトル$\{x_1,...,x_n\}$に取り直した場合

一方で,$\hat{M}$の基底$\{x_1,...,x_n\}$に関する行列表示とは,$x_i$を$e_i$だと思ったときに$\hat{M}$を行列として表したものでした.
よって「$\hat{M}$の行列表示$M$が式(\ref{eq:diag_M})での対角行列となる」必要十分条件は,式 (\ref{eq:diag})で$e_i\rightarrow x_i$とすればよく,

\begin{align} \hat{M} x_i=\lambda_i x_i\tag{3} \label{eq:diag2} \end{align}

となります.


従って,式 (\ref{eq:diag2})が『$\{x_1,...,x_n\}$が上手い(対角化できる)基底であるための条件式』というわけです.
これは正に,対角化でおなじみの式ですね.

もとの行列$\hat{M}$と,対角行列$M$の関係

$e_i\rightarrow x_i$で定められる行列を$P$で表しましょう.
つまり,
\begin{align}
Pe_i=x_i
\end{align}
とします.
この行列$P$を用いれば,式 (\ref{eq:diag2})は
\begin{align}
P^{-1}\hat{M} P e_i=\lambda_i e_i
\end{align}
となります.従って
\begin{align}
P^{-1}\hat{M} P
=
\left(
\begin{array}{cccc}
\lambda_1 &0 & \cdots & 0\\
0 &\lambda_2&\cdots& 0 \\
\vdots & \ddots & \ddots & \\
0 & \cdots& 0 & \lambda_n
\end{array}
\right)
=M
\end{align}
であることが示されました.