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あまり知られていないこと

【導出】完全反対称テンソル (Levi-Civita 記号) の縮約公式

ベクトル解析の重要な公式に,『完全反対称テンソル (レビ・チビタ記号) の縮約公式』があります.

毎回忘れてしまって,その度に公式を確認するという人も多いのではないでしょうか?
でも,この縮約公式は簡単に導けるんです.

導出法を覚えれば,縮約公式
$$\epsilon_{\color{red}{i}jk}\epsilon^{\color{red}{i}lm}=?$$
が暗算で計算できるようになりますよ!

準備

$\epsilon_{ijk}$の性質は「完全反対称性」です.
つまり,どの2つの添字を入れ替えてもマイナス符号が付きます:

完全反対称性
\begin{align} \epsilon_{\color{red}{\LARGE i}\color{blue}{\LARGE j}k}=-\epsilon_{\color{blue}{\LARGE j}\color{red}{\LARGE i}k},\qquad \epsilon_{i\color{red}{\LARGE j}\color{blue}{\LARGE k}}=-\epsilon_{i\color{blue}{\LARGE k}\color{red}{\LARGE j}},\qquad \epsilon_{\color{red}{\LARGE i}j\color{blue}{\LARGE k}}=-\epsilon_{\color{blue}{\LARGE k}j\color{red}{\LARGE i}} \end{align}

したがって,$\epsilon_{ijk}$の添字のうち,どれか2つが同じなら$0$となります.
たとえば,$\epsilon_{iik}=-\epsilon_{iik}$(ここでは,$i$についての和を取らないとします)なので$2\epsilon_{iik}=0$.
したがって
\begin{align} \epsilon_{\color{red}{\LARGE ii}k}=\epsilon_{k\color{red}{\LARGE ii}}=\epsilon_{\color{red}{\LARGE i}k \color{red}{\LARGE i}}=0 \end{align}
であることがわかります.


では,これらの性質を用いて縮約公式を導いてみましょう.

導出 (3次元の場合)

Step1 $~\neq 0$となる場合を列挙する$\Rightarrow$ざっくりと形を決める
$\epsilon_{ijk}$は完全反対称なので,$\epsilon_{ijk}\epsilon^{ilm}\neq0$となるのは
  1. $j=l$, $k=m$
  2. $j=n$, $k=l$
の2通りの場合に限られる.よって,定数$a,b$を用いて $$\epsilon_{ijk}\epsilon^{ilm}=a\cdot\delta_{jl}\delta_{km}+b\cdot\delta_{jm}\delta_{kl}$$ と表せる.
Step2 定数を決める: "添字の置換"に対する反対称性を考慮する
左辺は$j,k$ (或いは$l, m$)の置換に対し反対称であるから,右辺もそうでなければならず*1 $$\epsilon_{ijk}\epsilon^{ilm}=a(\delta_{jl}\delta_{km}-\delta_{jm}\delta_{kl}).$$ ここで,$(j,k)=(l,m)=(2,3)$の場合を考えれば$a=1$となる.
以上より,
縮約公式
$$\epsilon_{ijk}\epsilon^{ilm}=\delta_{jl}\delta_{km}-\delta_{jm}\delta_{kl}$$
が導かれる.//

練習問題

2つの添字について縮約した場合: $$\epsilon_{\color{red}{\large i}\color{blue}{\large j}k}\epsilon^{\color{red}{\large i}\color{blue}{\large j}m}=?$$ を,上で導いた公式に頼らず,暗算で計算してみましょう (その方が早いはずです).

高次元の場合

考え方は,3次元の場合と同様です.

*1:分かりにくければ,「左辺は$j=k$ (或いは$l=m$)のとき$0$となるから $a+b=0$」と考えても良い