外国人投資家動向と日経平均株価の関係を可視化

外国人投資家動向と日経平均株価

POINT

  • 外国人投資家の売買動向による,日経平均株価への影響をPythonとExcelで可視化した.
  • 週刊ダイヤモンドの図(3ヶ月単位)の再現に加え,1週間単位,1ヶ月単位でもプロットした.
  • JPXで提供しているデータの最小単位である「1週間」のプロットでも,日経平均株価への影響が読み取れる.

最新の外国人投資家動向だけを知りたい方は,以下を参照してください.定期的に最新の情報を更新しています:

【背景】外国人投資家と日本株式市場

日本株式市場は外国人投資家の動向に左右されると言われています.これは,東証の売買シェア6〜7割が外国人投資家であることに起因しています.このため,日本株を扱う上では外国人投資家について知ることが欠かせません.こうした外国人投資家の行動について詳しく欠かれた書籍が以下です.

最近,この書籍を含め,外国人投資家の動向と日本株式市場の関係について調べていました.その中で,「日経平均の3ヶ月前比」と「外国人投資家の売買金額」の相関をプロットした綺麗な図をみつけました.具体的には,週刊ダイヤモンド2017/12/16「見落としがちな日本株投資の大前提 外国人投資家こそが主導役」に掲載されていた図です.この記事では「3ヶ月」を単位としてグラフを作成しているのですが,「もっと短い期間ではどうなるのか?」という疑問を持ちました.


また,2月の日本株式市場では下落相場が続きました.今回も,上述の図と同じような動きが見られたのかが気になるところです.


以上をモチベーションとして,この記事では

  • 外国人投資家の売買額・日経平均の変化を,異なる期間(1, 4, 12週間毎)でプロットするとどうなるのか
  • 今年2月の日経平均下落での外国人投資家の動向について

を見ていきたいと思います.


この記事は以下に続きます.今回は,グラフの作成はExcelを用いましたが,グラフの作成までPythonで行う方法を紹介しています.

結果

とりあえず結論から.

  • 1週間単位でも,外国人投資家の動向が日経平均に影響することが読み取れる
  • 2月は,外国人投資家が大きく売り越し,日経平均株価の下落している

ことがわかりました.詳しくは,次の図を見て下さい.

  • 過去1週間の合計売買額をプロット
    後で見るように,過去数週間の売買額を合計すると見やすくなる反面,株価が下落(上昇)してから外国人投資家が売り越す(買い越す)ように見えてしまいます.しかし,1週間単位で見れば「外国人投資家が売り越し(買い越し)たために,株価が下落(上昇)している」ことがわかります.
    外国人投資家動向と日経平均株価
  • 過去4週間の合計売買額をプロット
    外国人投資家動向と日経平均株価
  • 過去12週間単位の合計売買額をプロット
    最初に紹介した,週刊ダイヤモンドの記事の図を再現したのが3ヶ月(12週間)単位のプロットです.ほぼ同じものが作成できたのですが,データ処理の方法が異なるらしく,完全な再現とはなりませんでした.
    外国人投資家動向と日経平均株価

可視化方法

データの取得方法と,データ処理に用いたプログラムについて解説します.

データの取得

  • 海外投資家のデータ
    JPXは,1週間毎のデータを異なるエクセルファイルで提供しています.「2013年まで」と「2014年以降」で,ファイルのフォーマットが異なるようです.今回は,2014年〜現在までのデータを使うことにしました.

    ただし,時系列データは存在しないようなので,Pythonで一つのファイルにまとめるコード作成しました.

  • 日経平均株価のデータ
    日経平均株価のデータが得られるサイトは色々あります.今回は次のサイトの週足データを用いました.

Pythonコード

参考文献に挙げた書籍を参考に書いたコードです.JPXから落としてきたファイルとpythonプログラムを同一ディレクトリに入れて実行すると,results.xlsxに結果が書き込まれます.ファイルのダウンロードは手動で,ソートやグラフの作成はexcelで行いました.

参考文献

この記事で紹介したプログラムは,次の書籍で紹介されているコードをもとに作成しました.